糸島の輪 は、現在準備中です。

2016/02/20 12:28

糸島市の志摩・馬場地区にて長年みかん農家をされている、友池 廣秋さん・美奈子さんご夫妻に、みかん栽培についてお話を伺いました。


↑みかん農家の友池 廣秋さん

Q. 現在、どのようなみかんを栽培されているのですか?


A. 清見、高畝紅みかん、ニューサマーオレンジ、糸島オレンジ、天草、アンコール、甘夏の7種類作っています。
なぜ多品種を作るのかといえば、みかんは種類がたくさんあって、それぞれ魅力が異なるので、消費者の皆さんにみかんをもっと楽しんで欲しいという想いと、それぞれ旬の時期が違うので、不測の自然災害などのリスクに備える意味もあります。
中でも食べやすくて人気なのは、高畝紅みかんです。まるで野菜を育てるように、土を盛り上げて高い畝を作ってから、みかんの木を育てるのですが、水分を調整出来るので、糖度がとても高い、濃厚なみかんが出来ます。12月から1月にかけて旬です。

Q. なるほど。「清見」という品種は、2月(インタビュー時)から収穫が始まるとのことですが、どのようなみかんですか?



A. 水分をたくさん含んだ、とても「ジューシー」なみかんです。まるでみかんジュースを「食べている」かのような不思議な食感があるので、初めて食べる方はびっくりされる人も多いですね。2月から5月にかけて旬です。水分が多いので、ナイフで、短冊に切ると、食べやすいですね。

Q. 他にも伊都オレンジ(糸島オレンジ)という珍しい品種を育てているそうですね?


A. 伊都オレンジは当果樹園でしか作っていない、世界で唯一のみかんです。平成10年頃だったかなぁ、レモンとニューサマーオレンジの「自然交配」で偶然出来たんです。
おそらくミツバチの働きで、レモンとニューサマーオレンジの花が受粉して、実をつけ、そのまま土の上に落ちたんでしょう。
種が自然に発芽し、枝を伸ばし、黄色い実をつけたのでずっとただのレモンだと思っていたんです。でも食べてみたら、全然酸っぱくなくて、甘くて・・・もう、本当にびっくりでした。
自然交配で新しい品種が出来るのは非常に稀なことですね。まだ伊都オレンジの木は、たった5本しかこの世に存在しませんので、とても大切に育てています。ちょくちょく、直売所に出荷していますが、名前も伊都オレンジにしようか、糸島オレンジにしようか迷っているぐらいなので、いい名前あれば教えてください。ちなみに大体1月〜2月だけ出荷しています。

Q. 貴重な品種を栽培されているんですね!私たちも食べてみたいです。みかん作りのこだわりについて教えてください。


A. 約20年間、除草剤を一滴も使用していません。自らの手を動かし、草を刈り取っています。骨が折れる作業ですが、そうすることで、土を汚すことなく、草を自然に還すことができます。除草剤を使うと、簡単な反面、土に良い影響は与えないと思います。ひいてはみかんの味を悪くすることにつながりますので、自らの手を動かすことにこだわっています。

また肥料は主に魚かす、油かすを使っています。さらにコーヒーかすも活用しています。コーヒーかすを使うみかん農家さんはほとんどいないんじゃないかな。食品由来の肥料を使うことで安全さを保ちながら、土壌の微生物を増やして土を良くしたり、果実の味を良くしたりすることができます。

そして、ワックスも使用していません。

Q. みかん栽培の苦労をお聞かせください。



A. みかんは、とても虫に好かれやすい果実なので、虫が付いていないか十分に気を配る必要があります。

最近はイノシシが出没して、果樹園を荒らすことが多いので、ネットを張ったり、柵を立てたりしています。開発などで住処を失ったり、狩りをする人も減ったりしたので、町の近くまで出没するようになったようですね。イノシシはとても賢いので、小さな隙間を見つけたり、網を破ったりして侵入してきます。これには皆さんがイノシシ鍋を食べて、協力して頂けると助かります。

また、みかんは年に一回しか収穫が出来ません。例えば野菜だと年に数度収穫が可能なものもありますから、知り合いの農家さんには、「みかんを育てるのは博打に近いな〜」と言われたこともあります。笑。
確かにリスクは高いかもしれませんが、先祖から譲り受けた大切な土地で育てておりますから、「これしかない!」と思って、心を込めてみかんを育てています。

Q. 最後に消費者の皆さんへのメッセージをお願いします。


A. みかんに限らず、ぜひ、日本の農業を応援してください!
農産物は、「新鮮さ」がとても大切です。新鮮な地元の食材を使うメリットは消費者の皆さんにとっても大きいと思います。